養蜂日記

#5 植物の知恵、ミツバチの能力

<前回のコラムのつづきです>蜜集めに素晴らしい集中力と勤勉性のあるミツバチですが、蜜源植物の開花を感知するのは、ミツバチの目ではなくて触角にあるようです。ミツバチに砂糖水を何かの匂いとともに与え、それを数回繰り返すと、匂いだけでもミツバチは同じ動作をするといいます。

ミツバチの臭覚能力とその習性をはるかな昔に見いだしていたのが、現在の蜜源植物にほかなりません。以前にも述べましたがそのタイムスパンは数百年ではなく数百万年です。

さて現代に戻り、皆さんのお家の居間やキッチンのテーブルに供されている単花蜜ですが、それぞれの味、風味、匂いに個性があることはすでにお気づきと思います。

おそらく、春先から夏の終わりまでの蜜源植物は、彼らの生き残りとその繁栄をかけて、気の遠くなるような時間をかけてミツバチを魅了する個性的な蜜を練り上げたのではないでしょうか。もし、世界のはちみつが単一の化学式で表現されるような単一の味、風味、匂いであれば、アピス・メリフェラ種という養蜂ミツバチは生まれなかったかもしれません。

これからもミツバチたちに元気よく仕事に励んでもらうためにも、自然を大切に、そして彼らのプロダクツはあくまでもそのままに皆さんに提供できるよう、私たちの養蜂を考えて行きたいと思います。

斉藤克明

 

 

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