養蜂日記

#4 人間の知恵、植物の知恵

ヒトの歴史よりもはるか以前、数百万年前にミツバチは自分たちの共同社会を確立しました。それが成立した背景には、彼らに食糧としての蜜と蛋白源の花粉を潤沢に提供する植物があったからです。

自ら移動することのできない植物は、子孫を残すためにその交配を自然の風土や昆虫、動物に依存したわけですが、植物の永年の知恵こそが、アピスメリフェラという勤勉なミツバチ種を生み出したと言えるのではないでしょうか。

さて、現代に時を移し、君津の山里で8種類ほどの蜜源植物の開花を毎年ミツバチと一緒に享受していると、年々でそれぞれの植物の蜜の量が異なることに気づきます。数年に一度しか花は咲き誇っても蜜が取れない山藤などはその顕著な例といえます。

もしかすると、この現象は自然の在り方の普遍性を示すものかもしれません。いつも同じ蜜が潤沢に取れてしまうと、ミツバチも油断が生じ、彼らの社会が脆弱になり千年、万年と重ねるとその社会が崩壊することを自然が危惧した結果かもしれません。

斉藤克明

 

 

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