ミツバチの社会―#4 雄バチについて
<20日のコラムにつづきます>
私たち人間の社会から見ると、ミツバチ社会の雄は不思議でなりません。今まで複数回雄バチについて触れ、かつ働きバチはすべて雌バチであることを述べました。写真でもわかりますが、雄バチは雌バチよりも大きく、女王蜂よりも体長が数ミリ短いだけですが、その大きさゆえに、六角形の巣枠に働きバチが貯蔵した彼らの食糧としての蜜を雌バチのようにダイブして吸うことができません。雄バチは、働きバチから口移しで蜜をもらって生きています。
雄バチの体が大きいばかりでなく、その目も雌バチに比べると大きくできています。大きな体で飛び回り、その視力も鋭いことは、すなわち、女王蜂と交尾をするのに都合よく進化してきたとされています。
春から秋まで、彼らの社会が成長している時は、雌バチが餌を提供してくれますが、秋も深まってくる今頃は、雄バチの姿を確認することが残念ながらできません。潤沢な花蜜が枯渇する今、雄バチに与える貯蔵蜜もなくなり、結果的に彼らは巣の外に出ざるを得なく、自らの使命を全うし土に還っていきます。
つづく
斉藤克明