養蜂&はちみつコラム

ミツバチの清潔志向

一匹の女王蜂と四~五千匹の働きバチによって構成される巣箱ですが、初夏には二段、三段に重ねられミツバチの総数も一万を超えると思われますが、私たちは一度も彼らの巣箱を掃除したことはありません。

彼らの巣では、常に新たな生命が誕生しています。そして、その数に相当するミツバチが生を終えるわけですが、彼らの巣箱という集団社会は、とてもクリーンかつ四季を通じて一定の温度と湿度に保たれるよう、ミツバチは懸命に働きます。ちなみに、一生を全うしたミツバチは、必ずといっていいほど巣外で生を終えます。

もちろん、彼らは排泄で巣を汚すこともありません。時として、巣に闖入した蛾やスズメバチは彼らの攻撃を受けて外に押し出されるか、それができない場合は、ミイラ化して巣の隅に追いやられます。

縦約60センチ、横約40センチ、高さ25センチあまりの巣箱は、アメリカ人のラングストロースさんが発明したとされていますが、それは今から一世紀半くらい前、江戸時代末期の話です。人為的に作られた巣箱ですが、彼らの衛生観念は、そこでも失われることなく、その恩恵で私たちは至上のスイーツを享受しています。

斉藤克明

 

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