花粉症の時期―杉の花粉と蜜源植物の花粉
花粉はミツバチにとって花蜜と同様、極めて重要な食糧です。花蜜は炭水化物として、ミツバチの活動エネルギーとなり、花粉はおもに成長期の幼虫の体を作る蛋白源として使われます。
この時期、君津の山里の多くの杉の木から花粉が飛ぶ時期になりました。花粉症の方にとっては辛い時期が始まりますが、どんぐりや低木である雪見草、栗、ミカンなどの木は蜜源植物であるのに、なぜ杉の花からは蜜が取れないのか、その疑問を雄紀にぶつけると、「杉は針葉樹で風を媒介して受粉するから」なのだそうです。日本の里山ならどこにでもある杉が昆虫を媒介して受粉する広葉樹であれば、はちみつの歴史も変わっていたろうにと想像するのは、身勝手というものですね。
それならばなぜミツバチは幼虫を育てる蛋白源をそれを豊富に出す杉に求めないのかと質問すると、「杉花粉は、空中を飛ぶため軽くできていて、広葉樹とくらべると中身がスカスカで(ミツバチにとって)使い物にならないから」なのだそうです。
残念ながら風媒植物の花粉は、人々に有益に働いていません。しかし、個人的な体験で恐縮ですが、はちみつを習慣化してから、花粉症に悩まされたことがありません。花粉症の特効薬としてはちみつは有効とは言えませんが、継続すると、その恩恵があるかもしれません。
斉藤克明