養蜂&はちみつコラム

#2 養蜂の未来ー日本の養蜂文化1

昭和中期まで日本のどこにでもあった春の風景

10日の養蜂の未来に続きます。ミツバチの健全な活動にとって自然と気候について前回は述べました。残りのキーワード、文化と食についてですが、日本の養蜂文化の形成は第二次大戦後の高度経済成長期に大きくかかわっていると思います。

はちみつは日本でも有史以来、極めて希少で貴重なものとして扱われたことは、11月18日のコラム、「歴史小説のなかのはちみつ」で柴田錬三郎さんの小説を例に挙げて述べました。さて、日本の近代でモーレツな勢いで戦後人口が増加し、それに伴って経済も右肩上がりで伸びていくなか、養蜂もレンゲとアカシアという蜜源植物が豊富であった1960年代は、この二つのメジャーな蜜源植物を追いかけて転飼養蜂が盛んであったと雄紀は言います。

その裏付けとして、令和元年11月にまとめられた農林水産省生産局畜産部、畜産振興課の統計によると、蜜源植物の栽培面積比較として、昭和60年のレンゲが21900ヘクタール、アカシアが7600ヘクタールであったのに対し、平成30年はレンゲが4200ヘクタール、アカシアが5400ヘクタールになっています。

レンゲが33年間で5分の1以下までに減少したのは、田んぼの減少に他なりません。昭和30年くらいまでに生まれた人たちには当たり前だった日本の春の田んぼ、レンゲ畑は四半世紀ほどの間に消滅してしまったといえるでしょう。

つづく

 

 

1つ星 いいね!
読み込み中...