#1 争うことのないミツバチ
ダーウィンの進化論に見られる適者生存という論理は、ミツバチの社会においてはありません。彼らの社会を構成している要の女王蜂は、そもそも適者生存で勝ち抜いてその座に君臨する「王」ではありませんし、女王蜂が働きバチ(雌バチのみ)や働くことのない雄バチを統治しているわけでもありません。それぞれが、それぞれの役割を忠実に果たすという「無私」の精神で彼らの社会は、人類の歴史に大きな貢献をし、これからもし続けることでしょう。
女王蜂の役割は、2-3年にわたるその生涯で、産卵のみに従事し、働きバチは自分たちの社会を維持するための卵から生まれる新生児の管理、面倒を見る係、彼らの食糧となるはちみつと花粉の加工貯蔵係、そして外に出て花蜜と花粉を収集し巣に運ぶ係に分かれて構成されています。
雄バチは、女王蜂との交尾のみが生涯の仕事で、彼らの社会の居候なので、花の時期が終わる秋になると、社会から追い出される運命にあります。(つづく)
斉藤克明