みつばちの社会-#2 女王蜂の役割
<14日のコラムにつづきます> 女王蜂に与えられた役割は、産卵して自らの群を維持することにあります。女王蜂以外のミツバチ(=働きバチ=雌バチ)に産卵能力はありません。
ミツバチの社会(一群=巣箱一つ)は1匹の女王蜂と雌の働きバチ数千匹(春、夏の繁殖期には1万以上になることもあります)、そして全体の1割程度の雄バチによって構成されています。
女王という響きから、一群を統括したり、率いたりするといったリーダーシップが女王蜂にあるように想像されがちですが、ミツバチの社会では、群同士で花蜜の縄張り争いはあり得なく、女王蜂が他の群を攻撃するための指揮権を発動するこというようなことはありません。唯一、女王蜂が自らの群の3割ほどの働きバチを引き連れて離れるのは、分蜂といって、働きバチの数が増えて、新女王が誕生した時にのみ起こりますが、これは平和的分家といえますが、新女王でなく、旧女王が自分の群を出ていくところが興味深いところです。旧女王が、新女王と争ったり、追い落としたりすることはありません。
前回のコラムでも述べましたが、女王蜂が生み落とす卵は、将来の女王蜂用といった遺伝的なものが組み込まれることはなく、生まれてまもない時期に、与えられるローヤルゼリーという特別食によって養われた幼虫が、女王蜂になります。
斉藤克明