養蜂&はちみつコラム

新女王誕生のプロセス

中央と左下のピーナッツの殻のような突起が王台(新女王育成巣)

みつばちの社会にとって今の時期は繁忙期です。彼らの巣箱は驚くべきスピードで増殖します。そのために冬の時期はひと箱だった巣箱が今は、3段にまで増えます。

写真中央に二つ、左下に一つあるピーナッツの殻のような突起物は新たな女王を育てるための特別な巣で私たち養蜂家は「王台」と呼んでいます。王台は、ミツバチの増殖が著しく、新たな社会を作るために必要となる新女王を育成するために作られたものです。

運よく、王台から新女王が羽化するところに養蜂家が遭遇すれば、その女王を確保して既存の3段の巣箱の一つを独立させ、そこに女王を配置して新社会を創ることができます。働きバチはそのままに「王」を挿げ替えるのは、江戸時代の藩制封建社会を彷彿しますね。

もちろん、ミツバチ社会においては、江戸時代のような「お上の沙汰」によって藩主が変えられるのではありません。増え続けるミツバチと彼らに与える食糧すなわち蜜の蓄積量を働きバチが計算し「GO」と判断したときに王台を作り女王のための餌、ローヤルゼリーを与え続けるための巣を作ります。

ミツバチの人口増加で巣箱が2段、3段に重ねられても、女王はあくまでも一匹です。もしこの王台から新女王が生まれ一つのミツバチ社会に2匹の女王が君臨すると、女王の覇権争いは起こるということはありません。既存の女王は、巣の中の半数くらいの働きバチと共に巣から出てゆきます。人間の社会であれば、プリンセスが新たな国に封されるところでしょうが、ミツバチ社会の自然の摂理ではその逆となります。

つづく

齊藤雄紀談、克明筆

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