スズメバチについて

今回はミツバチのライバル的な存在のスズメバチの話しです。

毎年この時期になると養蜂家を悩ませるスズメバチですが、養蜂家以外の人でもスズメバチの怖さはなんとなくわかると思います。

例えば、日本ではクマに襲われて死ぬ人よりもスズメバチに刺されて死ぬ人の方が圧倒的に多いそうです。また、スズメバチに襲われた人がニュースで放送される事も多いですね。

スズメバチが絶滅すればいいなんて思ってる人は養蜂家だけでなく結構いると思います。

でもこのスズメバチが日本からいなくなると多分日本の自然は壊滅するんじゃないかと私は思うのです。

スズメバチが今日本からいなくなったと想定してみます。

まず農業が被害を受けると思います。スズメバチは野生昆虫などを食べて生きているのですが、あれほどの巨体であれほどの速さで飛ぶだけあってかなりの量の昆虫を毎日食べています。そして畑の害虫も食べてくれているのです。もし、スズメバチが居なくなると農家は多分農薬の散布量を増やさないといけないでしょうし今まで問題にならなかった新たな害虫が出現するんじゃないかと思います。農薬を使わない有機農家はやっていけなくなるかもしれません。

被害は農業に止まりません。造園業、建築業、も白アリや樹木を食い荒らす虫の増加により同様の被害を受けると思います。サクラを食い荒らす毛虫(アメリカシロヒトリ)も増えるでしょうからもしかするとお花見もできなくなるかもしれません。

さらに被害は我々養蜂家のせいで拡大します。というのも養蜂家が飼うミツバチの西洋ミツバチは日本では野生化していません。これは日本に元から住んでいるニホンミツバチがスズメバチと戦うことが出来るのに対し、西洋ミツバチはスズメバチに対抗できず、野生化しようとしてもスズメバチに殲滅されてしまうからです。しかし、もしスズメバチが居なくなると集蜜能力や飛行距離に優れる西洋ミツバチがニホンミツバチの生息域を奪い、絶滅させてしまう可能性は十分にあります。

もしそうなった場合日本の生態系はめちゃくちゃになるでしょう。というのも西洋ミツバチは蜜を集める際、その時期に一番多くの蜜を出す花に集中して向かうという性質があります。つまり道端や木の根元とかでひっそりと咲いてるような小さな花には見向きもしないのです。

一方日本ミツバチはそういった目立たない小さな花でも好んで訪れるという変わった習性をもっており、ニホンミツバチに受粉を頼ってきたそうした小さな花はニホンミツバチが居なくなると残らず絶滅します。

そうすると、そういった目立たない植物を食べていた虫やらきのこやら小動物まで絶滅しますので下手すると日本の山が今とは全然違う見かけになってしまうと思います。

ざっと思いつくだけでこれだけの被害が想定されるのです。しかしこれはスズメバチ(オオスズメバチ)という一種類の虫が絶滅しただけでの想定なのです。

だからといって別に私はスズメバチを保護しようとかスズメバチの駆除をやめようとかそういうことを言うつもりは一切ありません。スズメバチは実際危険な虫ですし、家に巣ができたなんていう時には急いで駆除すべきです。

でも、地域からスズメバチを一切駆逐してしまおうとか、日本から絶滅させてしまおうとかそういう風には考えて欲しくないのです。実際、最近は強力な農薬がありますから農薬に弱いスズメバチを絶滅させるのは難しいことではありません。

でも、そんな事を考える前に知っていて欲しいのです。この虫が自然の中でどんな役割を担っているのか、どんな生活をしているのか、もしいなくなったら何が起こるのか。

決して虫は人間より格下の生き物では無いのです。