私は蜂が好きなのか?
この仕事をしているとよく「よほど蜂が好きなんですね」とか皆さん仰るのですが、実はそうでもないんです。
正直言うと私はミツバチより蛇や猫の方が生き物としては好きです。
では、何故養蜂家をやっているのかというと、私は蜂が好きなのではなく、「蜂と一緒に仕事をするのが好き」なんです。
ミツバチを飼うという事は牛や豚を飼育するのとは大分違います。
養蜂という仕事は、ミツバチ達にどれだけ仕事をしてもらうかが重要な仕事です。
そのため、養蜂家は蜂が元気に働ける環境を作るため日々苦心しています。
そして養蜂家の努力が蜂の生態にマッチしたとき初めて蜂達は元気に蜜を集めて来てくれます。
言ってしまえば養蜂という仕事は蜂の背中を守るということです。
尤も、昆虫である蜂が我々のことを仲間だと認識してくれることは永遠にありません。
しかし、そんなことは関係なく目の前の蜂の生態の一部に私という存在が少しでも在るということに心から喜びを感じます。
ペットや家畜のようにリードや柵で束縛せずに自然の中に箱を置くだけなのが養蜂です。飼う、飼われるの関係ではなく、心は通じずとも共に生きるという感覚が養蜂の面白さだと最近気がつきました。