冬の蜜源植物
あと1か月もすると河津桜が君津の山里のそこかしこに咲き、「山桜」としての今年の最初のはちみつ搾りを行いますが、今の時期、菅原道真の名歌、「こちふかば匂い起こせよ梅の花、あるじなしとて春な忘れそ」の季節です。
寒い日が続きますが、梅、椿、さざんかなど冬の時期でも花を咲かせる木々がありますが、なぜ「梅蜜、椿蜜、さざんか蜜」は無いのでしょうか。その疑問を雄紀、そして隆一にぶつけると、「ミツバチは冬でも花を求め活動し蜜を蓄えるけど、とても搾れるほどの量はないよ。彼らが自分たちの生活を維持するので精一杯だよ」とのことでした。
なるほど、春から夏にかけて、多様な蜜源植物のはちみつを彼らから貰える背景には、彼らの生命維持活動としての集蜜、その供給の恩恵を私たち人間がいただくということだったわけです。確かに、プラムよりもチェリーのほうがその圧倒的量が違い、みつばちの社会においては、桜を年初の集中集蜜のルーティーン一番にしているということでしょう。
自然とは、かくも合理的に出来ているとしみじみ感じる君津、その山里の初春です。
斉藤克明